国民年金などの公的年金は、20歳になると必ず加入しなければなりません。

保険料は納付書が送られてくるので、自分で支払うか自動引き落としで支払わなければなりませんが、年金を受け取る際は受給開始年齢になったら、自分で手続を行わなければ年金をもらうことができません。

国は「年金を受け取れる時期ですよ。」と郵便物で教えてくれますが、請求書を返信して自分で受け取る意思表示をする必要があるのです。

このページでは、国が法律にもとづいて管理運営している「公的年金」の種類を紹介しながら、年金の受け取り方や手続の方法を解説しています。

公的年金の種類

国民年金と厚生年金保険(引用:厚生労働省)

国が管理している「公的年金」には、「国民年金」「厚生年金保険」があります。

公的年金は3階建ての制度になっており「国民年金」が1階、「厚生年金保険」が2階にあたります。
3階部分は会社員の「企業年金」や公務員の「年金払い退職給付」になります。

国民年金(基礎年金)

第1号被保険者

国民年金は、20歳から60歳の人が必ず加入する社会保障制度です。
外国籍の人や、無収入の人も加入対象となり、これを国民皆年金と呼びます。

2階建て住宅の1階の基礎となる部分の年金です。

20歳になると年金を納める義務が発生して、65歳になると年金を受け取ることが可能です。
国民年金から支給される年金を「老齢基礎年金」と呼びます。

主に個人事業主などの自営業者、農林漁業者、弁護士や会計士などの士業、アルバイトやパートタイムの方などの、第1号被保険者が加入しています。

国民年金の受給要件

国民年金を受給するには、3つの条件をクリアする必要があります。

1.65歳になっていること

2017年8月1日までの受給資格は、最低25年間の加入が義務付けられていましたが、現在は10年の加入期間で受給資格を得ることができます。

2.保険料納付済期間、または保険料免除期間があること

国民年金の保険料を納めていた期間と、20歳から60歳までの間に厚生年金保険に加入していた期間も含まれます。

3.受給資格期間を満たしていること

保険料納付済期間、保険料免除期間および猶予期間の、合算対象期間すべての期間を合計して10年以上あることが必要です。

国民年金の受け取り方

老齢基礎年金は、受給資格を満たした上で65歳になると受け取ることができます。

しかし、早めにもらいたい方には「繰上げ受給」、もう少し後からもらいたいという方は「繰下げ受給」の制度を利用することができます。

年金の繰上げ受給

老齢基礎年金の受給資格を満たしている人は、60歳以上65歳未満の間で早く年金を受け取ることが可能です。

早くもらえるメリットがありますが、早ければ早いほど本当は受け取る予定だった年金額よりも減額された金額を、一生受け取るデメリットがあります。

繰上げ受給では65歳を基準として、受給を一ヶ月早めるたびに年金額が0.5%ずつ減額され、最大60歳からの繰上げ受給を行うと、本来受け取る金額の70%を受け取る事になります。

仮に、65歳から満額の年間779,300円を受け取る予定だった年金を、60歳から繰上げ受給を行うと年間545,510円しか受け取ることができなくなるのです。

また、繰り上げ受給を受けると、65歳前に年金を受け取っているので、国民年金に加入していた夫が亡くなった際に妻の生活保障を支えるために支給される寡婦年金や、障害基礎年金などをもらうことができません。

受給開始年齢老齢基礎年金の支給率
60歳70%
61歳76%
62歳82%
63歳88%
64歳94%
繰り上げた場合のお金の計算

年金を繰り上げ受給した場合、1ヶ月早めるごとに0.5%減額されて、5年早めて60歳からもらうと30%の減額になります。

早く年金を受け取ることが「得か損か」は、自分の寿命次第になります。
仮に寿命が67歳だった場合は、繰り上げて60歳からもらった方が総受給額が多くて得です。
しかし、人の寿命は予測ができません。

繰り上げ受給が得か損かを、受給総額で比較してみましょう。

繰り上げ受給した人が、基準どおりの65歳で受給した人に受給総額が追い越されるのは約16年8ヶ月後です。

これを踏まえると、60歳で受給した場合、65歳から受給した人には76歳8ヶ月の時点で受給総額を追い越される計算になります。

つまり、76歳8ヶ月以上に長生きする場合は、65歳から受給したほうが得になるのです。

受給開始年齢老齢基礎年金の支給率受給額が同じになる年齢
60歳70%76歳8ヶ月
61歳76%77歳8ヶ月
62歳82%78歳8ヶ月
63歳88%79歳8ヶ月
64歳94%80歳8ヶ月

年金の繰下げ受給

繰上げ受給とは逆に、65歳で年金の受け取りを開始しないで、66歳以降70歳までの間で遅らせて年金を受け取ることも可能です。

年金を受け取る年齢が70歳に近づけば近づくほど、本来受け取る予定だった年金額よりも増額された金額を、一生受け取ることができるメリットがあります。

繰下げ支給では65歳を基準として、受給を一ヶ月遅らせるたびに年金額が0.7%ずつ増額されます。最大70歳からの繰下げ受給を行うと、本来受け取る金額の142%を受け取る事ができます。

例えば、65歳から満額の年間779,300円を受け取る予定だった年金を、70歳から繰下げ受給をすると年間1,106,606円も受け取ることができるのです。

受給開始年齢老齢基礎年金の支給率
66歳108.4%
67歳116.8%
68歳125.2%
69歳133.6%
70歳142.0%

デメリットとしては、受取人がいつ亡くなるのかがあります。受け取り開始後、すぐに亡くなってしまった場合は、繰下げ受給の意味がなくなってしまうのです。

繰り下げた場合のお金の計算

65歳以降、支給年齢を一ヶ月遅らせるごとに0.7%の増額、5年遅らせて70歳から受給する場合は42%増額された年金を受け取ることができます。

70歳まで繰り下げ受給した人が、基準の65歳で受給した人よりも受給総額で上回るのは約11年10ヶ月後です。

つまり、81歳10ヵ月以上に長生きする場合は、70歳から受給したほうが得になるのです。

増額された年金は一生涯続きますので、長生きをすればするほど得になる計算となります。

年金の請求

年金の裁定請求

受給要件を満たしていれば65歳からだれでも老齢年金を受け取ることができますが、年金を受け取るためには自分で請求の手続きをしなければなりません。

年金支給開始年齢の誕生日3ヶ月前になると、日本年金機構から「年金裁定請求書」「案内文章」が郵送されます。

年金請求書には、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所、年金加入記録があらかじめ印字されています。内容に間違いがないかを必ず確認しましょう。

年金の加入記録に漏れている期間がないかは、とくにチェックが必要です。

年金を請求する際には、年金請求書の他に戸籍抄本や住民票などの添付書類が必要となります。
家族構成や年金の加入状況によって、添付書類が変わるので注意しましょう。添付書類がわからない場合は、年金事務所に問い合わせて確認できます。

請求書を提出後、1~2ヶ月後に「年金証書」「年金決定通知書」が送付されます。さらに、1~2ヶ月後に「年金振込通知」の案内が届いて、年金の支給が開始となります。

金融機関に相談して手続きできる

年金を銀行に相談してみる

裁定請求の手続きは記入するだけでは手間がかかりませんが、加入履歴などの記載で悩むケースが多くあります。
難しく感じた場合は、社労士に問い合わせるか、最寄りの金融機関の窓口で相談するとよいでしょう。

金融機関によっては、年金の受け取り口座に指定することで、裁定請求の手続きを無料で代行してくれる場合もあります。
年金の受取口座は書類1枚だけでいつでも変更できるので、まずは近隣の金融機関を利用する方法も一つの方法です。

請求を忘れて5年が経過すると時効になり、もらえるはずの年金が受け取れなくなりますので注意しましょう。

年金の振込先

各年金は金融機関で受け取ることができます。主な対象金融機関は下記になります。

銀行、ゆうちょ銀行(郵便局)、ネット銀行、信用金庫、農協、信用組合、労働金庫

年金の支払い月は、2月、4月、6月、8月、10月、12月の年6回偶数月となっています。
各支給額は前2ヶ月分、年金額を6等分した計算で金融機関に自動で振込されます。

金融機関への振込みは、該当月の15日です。15日が土曜日、日曜日、祝日の場合には、その前の営業日が支払日になります。

老齢基礎年金と老齢厚生年金を、別々の金融機関に振り込むことはできませんので注意しましょう。

年金受取り金融機関の選び方

厚生年金保険

第2号被保険者

厚生年金は3階建て住宅の2階にあたる部分の年金で、加入者は1階部分にあたる国民年金も同時に加入しています。

厚生年金保険は、適用事業所となっている企業で働いている、70歳未満の人が加入対象となる年金制度です。

主に、民間企業に努めている会社員、公務員、教職員などの第2号被保険者が対象となっています。
会社に務める正社員以外でも、条件次第ではパートタイマーも加入する事ができます。

老齢厚生年金の受給要件

老齢厚生年金を受給するには、3つの条件をクリアする必要があります。

1.1ヶ月以上の被保険者期間がある

厚生年金の加入期間が1ヶ月以上あることが必要です

2.老齢基礎年金を受けるために必要な資格期間を満たしている

年金の一階部分である、老齢基礎年金の資格期間を満たしている必要があります

3.65歳以上である

受給開始年齢である65歳になっていること

年金の受け取り方

老齢厚生年金は、老齢基礎年金と同様に原則65歳から受け取る事ができます。

「繰上げ受給」

老齢厚生年金も繰上げ受給を請求することができますが、生年月日によって対象者が限定されていますので注意しましょう。

繰り上げることによる減額率も、老齢基礎年金と同様です。

「繰下げ受給」

老齢厚生年金も繰下げ受給を請求することができますが、平成19年4月1日(施行日)以前に老齢厚生年金の受給権がある人は繰り下げ受給ができません。

繰り下げることによる増額率も、老齢基礎年金と同様です。

特別支給の老齢厚生年金

老齢厚生年金は1985年の法改正までは、男性が60歳、女性が55歳から、定額部分と報酬比例分を合わせて支給されていました。

法改正後は65歳からの支給に変更されましたが、60歳で定年退職してしまう方が年金を受け取ることができなくなってしまいます。

その対応策として、しばらくの間、60歳から特別に厚生年金を支給する制度ができ、徐々に支給年齢を引き上げることになっているのです。

これを「特別支給の老齢厚生年金」といいます。

受給要件は下記の3つです

1.1年以上の厚生年金加入期間があること

2.老齢基礎年金を受けるために必要な受給資格期間を満たしていること

3.60歳以上であること

老齢厚生年金の請求

老齢厚生年金も、老齢基礎年金と同様の請求方法となります。

65歳の受給年齢で受け取らない場合は、下記の3つのパターンの受給方法を取ることができます。

・老齢基礎年金のみを繰り上げ、繰り下げ。

・老齢厚生年金のみを繰り上げ、繰り下げ。

・老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り上げ、繰り下げ。

特別支給の老齢厚生年金の請求

現在、特別支給の老齢厚生年金の支給が行われながら、支給階支援例の引き上げも行われています。

特別支給の年金には、繰り上げ、繰り下げの支給がありませんので、受給開始年齢になった場合にはすぐに手続きをして受け取りましょう。

国民年金・厚生年金の受け取り方 まとめ

国民年金、厚生年金の両方共、基本的な受給開始年齢は65歳となっています。
65歳から通常通りに受給もできますし、繰り上げ受給・繰り下げ受給といった制度も利用することができます。

定年の年齢が徐々に引き上げられており、働いて収入を得られる機会も増えているのが現状です。

生活にいくらのお金が必要なのかをしっかりと把握して、年金の受け取りを調整することで、お得な受け取り方が可能になります。

日本政府は「70歳で支給開始」、さらには「75歳から支給開始」議論まで行われていますので、若者世代が何歳から受給できるかは変わることがあることが予想されます。

年金関連のニュースは定期的にチェックしておきましょう。

以上、「国民年金・厚生年金の受け取り方 繰り上げ・繰り下げで得する受給方法」でした。

下記のページでは、年金を受け取る際にお得になるサービスを提供している金融機関の選び方を紹介しています。

年金受け取り金融機関の選び方