3世帯家族

平均寿命が延びた事によって、生き方や働き方の話題が増えるようになりました。
政府も「人生100年時代構想」を打ち出し、企業の定年延長や年金受給年齢の引き下げも検討されています。

人生の晩年を豊かに過ごすためには、お金が必要ですよね。
公的年金は老後の収入源の一つですが、それだけでは生活費が足りないのが現状です。

そんな中、老後資金確保の手段として注目を集めているのがiDeCo(イデコ)です。

このページではiDeCoのしくみやメリット、かかる税金や税金控除の制度を解説し、iDeCoのおトクな受け取り方を紹介します。

iDeCo(イデコ)とは?

iDeCo

iDeCo(イデコ)「個人型確定拠出年金」の略で、自分で金融商品を選んで運用しながら積み立てる「個人年金」のことです。

国民年金厚生年金「受給金額(給付額)」が決まっているので「確定給付年金」に属します。

確定拠出年金は受給金額が決まっていませんが、支払う金額の「拠出額」が決まっているので、「確定拠出年金」と呼ばれます。

金融商品の運用成績によって、受給する金額が増えたり減ったりするので「変動給付年金」とも言えるでしょう。

iDeCoは、3つの面で税制が優遇されるメリットがあります。

1.掛金の拠出時

拠出した掛金は、全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されます。

家族構成などの状況にもよりますが、掛け金が大きいほど、所得水準が高いほど、節税効果が高くなります。

2.運用時

一般的な金融商品の株式や投資信託などの運用益は税金がかかりますが、iDeCoの場合は非課税になります。

運用益の全額が再投資されるので、その分だけ複利の効果を得られます。

3.受給時

iDeCoは掛け金の拠出時や運用期間中は非課税ですが、年金を受け取る際には課税されるしくみです。
これを「課税の繰り延べ」といいます。

しかし、年金として受け取る場合は「公的年金控除」、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」が適用されて、一定の金額を非課税にすることができます。

iDeCoは何歳から受け取れる?

イデコの受給開始年齢について

iDeCo(イデコ)で掛けたお金は「老齢給付金」として、原則として受給開始年齢の「60歳」から受け取ることができます。
受給開始年齢以降であれば、好きな時に受け取りを開始することが可能です。

「60歳はまだ会社で働いているので、65歳から受け取る。」ということも選ぶことができます。

ただし、遅くても70歳までには、受け取りを開始する必要があります。

また、老齢給付金は加入者期間が短いほど、受給開始年齢が繰り下げられます。
50歳以降から加入した場合は、受給開始年齢がだんだんと遅くなるしくみです。

他の企業年金などからの年金資産の移換がある場合、他制度の加入期間が確定拠出年金の加入期間に加算されます。合算して10年以上であれば、60歳から老齢給付金を受取ることができます。

加入期間

受給開始年齢

10年以上

60歳から

8年以上10年未満

61歳から

6年以上8年未満

62歳から

4年以上6年未満

63歳から

2年以上4年未満

64歳から

1月以上2年未満

65歳から

iDeCoの受け取り方法

iDeCo(イデコ)の受け取り方には3種類がありますので、それぞれ解説します。

iDeCo 受け取り方法(引用元:楽天証券)

老齢年金として分割で受け取る

拠出して運用した資産を「年金」として分割して受け取ることも可能です。

受け取り期間や受け取り回数は、金融機関によって異なります。

マネックス証券の場合、受取期間を「5年~20年」の間で指定できます。

1年間での受取回数は「12回(毎月)、6回(半年)、4回(4ヶ月)、3回(3ヶ月)」の中から選ぶことができます。

老齢一時金として一括で受け取る

iDeCoの老齢給付金を「一括(一時金)」として、まとめて受け取ることができます。

この場合は税法上では「退職所得」という区分になります。

年金と一時金を併用して受け取る

金融機関によっては一括と分割を組み合わせて受け取ることができます。

iDeCoの受取時にかかる税金と控除のしくみ

一時金で受け取る場合に活用できる「退職所得控除」

一時金として受け取る老齢年金は、退職所得として扱われ、退職所得控除の対象となります

積み立てた金額すべてが課税されるわけではなく、掛金を拠出していた期間に応じて算出した退職所得控除額を差し引くことができるのです。

控除は拠出年数が長くなればなるほど、控除される金額が大きくなります。

iDeCoの掛金を拠出していた期間退職所得控除額
20年以下40万円×拠出年数
20年以上800万円+70万円×(拠出年数-20年)

iDeCoの控除額と税金の計算例

自営業の第1号被保険者がiDeCoで年間81万6千円を25年間、年利3%積み立てた場合。

積み立て総額は30,328,532円です

控除額を下記の数式で計算すると、1,150万円となります。

800万円+70万円×(25-20年)=1,150万円

退職所得は、退職金から退職所得控除を差し引いた金額の半分で計算されまするので、9,414,266円となります。

(30,328,532円-1,150万円)÷2=9,414,266円

9,414,266円に対する所得税額は1,475,569円

市民税と県民税を合わせた住民税は941,300円です。

それぞれを差し引くと、27,911,663円が手元に残る計算になります。

30,328,532円-1,475,569円-941,300円=27,911,663円

年金で受け取る場合に活用できる「公的年金等控除」

iDeCoの資金を年金形式で受け取る場合は税法上「雑所得」となり、「公的年金等控除」を受けることができます。

公的年金等控除は、65歳未満の場合は公的年金などを含めた年金収入が年間70万円以下、65歳以上の場合は年間120万円以下であれば、全額が非課税で受け取ることができます。

受給者の年齢公的年金等の年間収入金額公的年金等控除額
65歳未満70万円以上 130万円未満 70万円
130万円以上 410万円未満 収入金額 × 25% + 37万5千円
410万円以上 770万円未満 収入金額 × 15% + 78万5千円
770万円以上収入金額 × 5% + 155万5千円
65歳以上120万円以上 330万円未満 120万円
330万円以上 410万円未満収入金額 ×25% + 37万5千円
410万円以上 770万円未満収入金額 × 15% + 78万5千円
770万円以上収入金額 × 5% + 155万5千円

会社員や公務員だった方が、65歳から国民年金や厚生年金を受け取った場合は、多くの場合で公的年金等控除額を上回ってしまうので、その部分に対して雑所得として総合課税されます。

公的年金とiDeCoの受け取りで年間所得が多くなると、税金に加えて国民健康保険や介護保険の保険料が増える可能性があるので注意が必要です。

自営業の方の場合は、影響を受けることが少ないでしょう。

年金で受け取る際の注意点

iDeCo(イデコ)を年金で受け取る場合の注意点は「振込手数料」「口座維持手数料」といったコストがかかる点です。

振込手数料

年金を受け取る際には「給付事務手数料」が、1回の振り込みの度に432円かかります。

年金方式で、期間を20年間、毎月受け取った場合の手数料は103,680円にもなってしまいます。

20年×12回×432円=103,680円

年金受け取りの振込手数料を減らす施策としては、振込回数を減らす方法で対応するとよいでしょう。

たとえば、年金を半年に1回、年2回の受け取りにすると、年12回受け取りに比べて6分の1の手数料17,280円の負担ですみます。

20年×2回×432円=17,280円

口座維持手数料

iDeCoは60歳で積み立てが終了します。

60歳以降になると資金の拠出はできなくなり、運用指図者としてスイッチングなど資産の運用のみを行なうことができます。スイッチングとは、今まで運用してきた商品を売却または解約して、他の運用商品を買い付けることをいいます。

60歳から受給開始までの間は、新たな資金の拠出をすることができなくなりますが、資金の運用指図者として手数料を支払う必要があります。

新たな掛金積立を行わない運用指図者の場合の手数料は、信託銀行に払う手数料が月64円と、銀行や証券会社に払う手数料の2種類があります。

信託銀行に支払う手数料は必ずかかりますが、銀行や証券会社に払う手数料はそれぞれ異なっています。ネット証券であればこの手数料が無料の場合もあるので活用しましょう。

証券会社信託銀行への手数料/月額証券会社の手数料/月額
マネックス証券64円0円
楽天証券64円0円
岡三オンライン証券64円367円
大和証券64円0円
松井証券64円0円
SBI証券64円0円
(残高50万円未満は月額324円)

(2019年5月4日現在)

一括+分割の受け取りで税金控除を有効活用する

iDeCo(イデコ)は、一時金で受け取ると所得税の計算上は「退職所得」となります。

また、年金で受け取ると、公的年金と同様に「雑所得」となります。

退職所得は退職所得控除が適用されますが、会社の退職金の非課税枠と共通になっています。
また、年金の場合は公的年金控除が適用されますが、公的年金の非課税枠と共通です。

会社員や公務員の方の場合、退職金や公的年金が高額になるケースも多く、非課税枠を使い切ってしまうケースもあります。
iDeCoの資産が余計に課税されないように、受け取り方を工夫しましょう。

年金支給年齢までを活用する

公的年金を受給開始できる年齢は65歳からです。
60歳から64歳まで、年金を受け取っていない期間があるので、この期間を有効に活用しましょう。

iDeCoは、資金を一時金や年金のどちらかだけで受け取るのではなく、2つを併用して受け取る方法も可能です。
この併用のしくみを利用して得する受給ができます。

iDeCoを一時金と年金を併用して受け取る方法

1.60歳から64歳まで年間70万円、合計350万円を年金として受給する

2.65歳で450万円を一時金として受給する

3.老齢年金や厚生年金等を受給する

年金支給までを活用する受け取り方法

60歳から64歳までの公的年金等控除額は年間70万円で、この金額以下であれば税金がかかりません。

iDeCoの資産が800万円貯まっていた場合、60歳から64歳までの5年間、年間70万円分の合計350万円を年金として受け取ります。

そして、残りの450万円を65歳の時に一時金として受け取ります。この場合は退職所得となり、課税分は半分の225万円だけになります。

なお、60歳で退職して所得がない場合は、所得税の基礎控除分38万円もあるので、108万円までは非課税となります。

年金+一時金という受け取りプランは、すべての金融機関で用意されている訳ではありません。
受け取り方を工夫したい場合には、年金と一時金を併用できる金融機関を選んでおきましょう。

受給繰り下げと組み合わせて更に得する方法

受給繰り下げと組み合わせて更に得する方法

公的年金は65歳の受給開始年齢から繰り下げて受け取ると、受取額がアップする特典があります。

年金の受け取りを1ヶ月遅らせるごとに0.7%、60歳から5年後の70歳まで繰り下げると42%も増える計算になります。

65歳で受け取る公的年金を70歳まで繰り下げることで、60歳から70歳までの間は公的年金の受給がなくなります。

この期間にiDeCoを年金方式で受け取ることで非課税扱いにすることができます。

65歳未満の公的年金控除額は年間70万円、65歳以上の公的年金控除額は年間120万円ですので、

70万円×5年間=350万円

120万円×5年間=600万円

合計で950万円非課税で受け取ることができます。

さらに、70歳以降は繰下げ支給した分の公的年金を42%増えた分として、亡くなるまで受給することができるのです。

税金がかからず、公的年金も増えるという、一石二鳥な受け取り方となります。

iDeCo(イデコ)の得する受け取り方 まとめ

iDeCoで節税と年金作り

iDeCo(イデコ)は、受け取り方を変えるだけで、税金でかかる分が軽減されてお得に受け取ることができるという事が分かったでしょうか?

もちろん、個人それぞれの仕事、会社と退職の関係などによって条件は異なります。

「人生100年時代」と言われるように、仕事をなるべく続けていきたいという方も多いのではないでしょうか。

仕事を辞めた後の新しいライフプランを考える上で、公的年金の他にも自分で資金を貯めておくことはとても大切なことです。

確実な優遇税制を受けることができるiDeCoを活用して、資金をしっかりと確保しましょう。