公務員といえば安定した職業で、定年退職後の年金も高額だから老後も安心といった考えの方も多いのではないでしょうか?

しかし、2015年の制度改正によって退職手当や年金の金額が減額になっており、少子高齢化が進んでいる日本では今後も回復する見込みはありません。

その様な中、公務員でも自分で自分の年金を準備するニーズが高まり、自分年金の一つであるiDeCo(イデコ)が注目されています。

今回は、公務員がiDeCoをお得に活用する方法を考えてみましょう。

日本の公務員

2019年時点で日本では約333万人が公務員として働いていますが、一言に公務員と言っても様々な職種があります。

公務員は大きく2種類に分けることができます。

1.国家公務員

国家公務員は国全体に関連する業務へ従事する公務員を指します。

たとえば、内閣府や法務省、財務省などの中央官庁、地方支分部局といった地方の出先機関に勤務し、国家や世界の課題の発掘、政策や法令の立案、予算の策定や施策実行を行っています。

国家公務員

具体的には、裁判官や検察官、警察官(キャリア)、外交官、自衛官などが国家公務員に当たります。

2.地方公務員

地方公務員は都道府県や市区町村といった自治体組織に関連する業務へ従事する公務員を指します。

所属する行政区域に密着し、福祉や治安の整備、環境向上を主業務として遂行します。

具体的には警察官や消防士、保育士、幼稚園教諭、看護師、市役所職員などが地方公務員に当たります。

地方公務員

今回はそんな国家公務員、地方公務員の方のiDeCoという自分年金作りができる制度の活用方法についてまとめてみました。

なお、iDeCoってなに?という方はこちらのページも併せてご覧ください。

iDeCo(イデコ)とは?節税のメリットや控除のしくみを分かりやすく解説

公務員のiDeCo加入状況

公務員は第2号被保険者へ分類されます。

公務員の具体的な職種は判別できませんが、共済組合員(公務員や私立学校教職員が対象)の加入状況をデータ化した、りそな年金研究所の調査資料があります。

iDeCoの加入者数

(※りそな年金研究所 企業年金ノートより

2017年3月時点の数値では、自営業者が区分される第1号被保険者は、全体1,575万人に対して、iDeCoの加入者数は約11万人で加入割合は0.72%。

会社員や公務員が区分される第2号被保険者は、全体4,266万人に対して加入者数は約65万人で加入割合は1.52%。

専業主婦・主夫が区分される第3号被保険者は、全体889万人に対して加入者数は約2万人で加入割合が0.22%となっています。

その中で、第2号被保険者のうち公務員(※厳密には私立学校教職員も含まれる)が大半を占める共済組合員は、全体445万人に対して加入者数は約14万人で加入割合は3.23と群を抜いて高い比率となっています。

つまり、職業別で見るとiDeCoへの注目度は公務員が断然高いのです。

では、なぜiDeCoに対する公務員の注目度が高いのでしょうか。

共済年金が厚生年金へ統一され公務員の年金は減額

2015年9月まで、公務員は共済年金という独自の年金に加入していました。

共済年金とは会社員にとっての厚生年金のような存在で、職域部分として加算分があったため、年金構造で言えば2階と3階をカバーするものでした。

しかし、かねてより公務員と民間会社員の官民格差として、公平性の是非が取り上げられていたことから、2015年10月より共済年金は厚生年金へ統一され、共済年金の職域部分は年金払い退職給付へと名を改めるとともに内容にも変更が加えられました。

共済年金から厚生年金へ

年金払い退職給付は、一般的な会社員の企業年金に当たるものです。

それでは共済年金の職域部分と年金払い退職給付の違いについてまとめてみましょう。

共済年金の職域部分と年金払い退職給付の違い

加入者の保険料負担

共済年金の職域部分は保険料負担がありませんでしたが、年金払い退職給付では加入者の保険料負担が発生するようになりました。
保険料率は労使折半で上限が1.5%と設定されています。

支給方法

共済年金の職域部分は終身年金として支給されていましたが、年金払い退職給付では半分を有期年金(※10年または20年から選択)、残り半分を終身年金として支給されるようになりました。

支給財源

共済年金の職域部分は現役従事者の払込保険料が退職者へ支給される賦課方式でしたが、年金払い退職給付は自分で積み立てた分を退職後に受け取る方式へ変更となりました。

共済年金の厚生年金統一に伴い、受け取り年金額は1割程度減ったと言われています。

年々減っていく公務員の定年退職手当

内閣府が定期的に発表している、国家公務員の定年退職者の平均退職手当額の推移を見てみましょう。

定年退職時の平均退職手当額

こちらは国家公務員の常勤職員、並びに行政職俸給表適用者(総合的な事務職)の中で、定年を理由として退職した方の平均退職手当額の推移を表にまとめました。

こちらの表では常勤職員の場合、平成23年度の退職金は約2651万円でしたが、平成29年度では約2149万円と6年で502万円、比率として18.9%も減っています。

安定性が高い職業として人気が高い公務員ですが、取り巻く退職後の経済状況は徐々に悪化の一途を辿っており、将来へ備える意識の高まりから公務員のiDeCo加入率の高まりもうなづけるところとなっています。

公務員のiDeCo加入メリット

公務員がiDeCoを利用する際には、3つの税制優遇メリットがあります。

1.iDeCo積み立て時

公務員の場合は、iDeCoへは最大で月12,000円、年間144,000円を掛け金として拠出することができます。

この掛け金の全額が所得控除となるため、その分所得税や住民税の負担を軽減することができます。

2.iDeCo運用中

iDeCoは運用商品として、定期預金や保険などの元本確保型と、元本保証のない投資信託を選択することができます。

元本確保型は超低金利の現在、積立累計額以上に資産を増やすことは望めません。

投資信託は値動きがあるため元本割れするリスクがありますが、運用次第で大きく利益を上げることも可能です。

iDeCoで利益が出た場合は利益に掛かる税金は非課税となるため、運用益非課税というメリットを享受したい方は運用商品へ投資信託を組み込むと良いでしょう。

3.運用終了後の資産受取り時

iDeCoは60歳になると運用資産の受け取り方を、一時金として一括で受け取るか、年金として定期的に受け取るか2つの選択肢から選ぶことができます。

一時金として受け取る場合には退職所得控除、年金として受け取る場合には公的年金控除の対象となるため、積み立て実施年数や金額によっては税金が掛からない、もしくは税負担を軽減できるメリットがあります。

iDeCoのデメリット

つぎにiDeCoのデメリットも確認しておきましょう。

1.iDeCoは原則として60歳まで引き出せない

iDeCoは原則として60歳まで資金を引き出すことができないため、たとえば住宅購入資金や子どもの教育資金を貯蓄する目的とした制度利用は向いていません。

そのため、iDeCoをはじめる際にはあくまで余剰資金から月々の掛け金を拠出するようにしましょう。

月々の掛け金は最低5,000円以上、1,000円単位で設定することができ、1年間に1度掛け金額を変更することができます。

将来的な資金需要が分からないという方はまずは少額の5,000円からiDeCoをはじめてみるとよいでしょう。

2.選択可能な金融商品が限られている

iDeCoは保険や定期預金、投資信託から運用商品を選択するが、それ以外の現物株やIPO、ETFやFXを選択することは出来ません。

もし、iDeCoで選択できない金融商品を取引したい場合には、通常口座やNISA口座などとiDeCoは併用可能なため、別の口座で取引を行うようにしましょう。

なお、選択可能な金融商品の中でも例えば投資信託の取扱ファンドは金融機関によって異なるため、あらかじめ選択したいファンドが決まっている場合にはそのファンドをiDeCo口座で選択可能な金融機関を選びましょう。

3.掛け金上限が決まっている

iDeCoでは職業や年金加入状況によって掛け金上限は異なり、公務員の掛け金上限額は月々12,000円と決まっています。

そのため、月々の資産形成へ充てることが可能な余剰資金がさらにあるようならば通常口座やNISA口座、つみたてNISA口座(NISA口座とつみたてNISA口座はいずれかのみ開設可能)をiDeCoと併用して資産形成を検討するとよいでしょう。

公務員のiDeCo節税効果

最後に公務員のiDeCoの節税効果について触れておきましょう。

掛け金年収
400万円600万円800万円
月5,000円
(年6万円)
9,000円
[15.0%]
12,000円
[20.0%]
18,000円
[30.0%]
月10,000円
(年12万円)
18,000円
[15.0%]
24,900円
[20.0%]
36,000円
[30.0%]
月12,000円
(年14.4万円)
21,600円
[15.0%]
28,800円
[20.0%]
43,200円
[30.0%]

(※あくまでシミュレーション結果のため、目安金額としてご覧ください)

公務員の場合、iDeCoの掛け金額は月5,000円以上、12,000円以下で1,000円単位で金額の設定が可能です。

節税額のシミュレーションを算出したところ、掛け金額に対して15%~30%もの金額が節税できる結果になりました。

つまり、たとえ金融商品で運用益が1円も出なかったとしても、iDeCoを行うだけで利回り15%~30%相当の金額メリットを享受できるわけです。

通常の資産運用であれば投資元金に対して利回り30%を出すのはプロでも難易度が高い成績ですが、iDeCoであれば投資初心者でもそれが可能になります。

まだiDeCoを利用していない公務員の方は、この機会に制度利用を検討してみると良いでしょう。

公務員のiDeCo(イデコ)活用メリットまとめ

iDeCoは節税メリットを考えただけでも、公務員にとって大変おトクな制度です。

公務員の老後資産を取り巻く環境は昨今厳しくなりつつあるため、老後資産に不安を感じる方は資産形成の1つとしてiDeCoの検討をおすすめします。

ただ、iDeCoは長期で付き合う制度のため、月々の掛け金拠出が負担に感じる場合は少額5,000円からはじめる、投資について怖さを感じる場合は慣れるまで元本確保型の商品を選択するなどなるべくストレスを下げ、できるところから臨むとよいでしょう。