資産運用を行う上で重要かつ難しいのが、『自分にあった資産の組み合わせであるポートフォリオを作ること』です。
日本で発売されている投資信託は、約6,000本という数の銘柄が存在していて、さらに毎年新しい投資信託が誕生するとともに消えていく銘柄も存在します。
これらの投資信託を調べ上げ、その上で自分の投資スタイルに合わせてバランスよく組み合わせるというのは、なかなかハードルが高いのではないでしょうか?
投資のベテランでさえ、「今のポートフォリオは正しいのか?」と不安になるといいます。
このポートフォリオの作成をIT技術で助けてくれるのが、フィンテックの中でも注目されているロボアドバイザーです。
ポートフォリオの作成だけではなく、資産運用まで最新の資産運用アルゴリズムを使って自動的に行ってくれる投資一任運用型(ラップ)と助言型(アドバイス)の2つのロボアドが存在します。
このページでは低コストで自動的に分配投資が始められるロボアドバイザーについて、投資を始める前に知っておきたい情報をまとめました。
ロボアドバイザーとは?
ロボアドバイザーとは、ネット上で資産運用をサポートしてくれるフィンテックサービスのひとつです。
ロボアドバイザーでは投資運用アルゴリズムを使用し、コンピューターがユーザーの考え方に合わせて自動的に資産運用を行ってくれます。
投資初心者で知識が少ない人でも、低コストで分配投資が始められると話題となり、これから投資を始めようとしている方からの注目が集まっています。
このようなサービスは、ITを使わないものが昔からありました。
ライフプランニングFPのアドバイスを受け、インベスト・マネージャー(IM)やポートフォリオ・マネージャー(PM)によって資産運用の方法を決定されます。
この手法では多くの人手が必要なので高コストとなり、さらに人の手で売買されるため心理状況によって正確な判断ができない可能性があります。
ロボアドバイザーでは、すべての判断がコンピューターによって行われるため、上記のサービスと同等以上の質を保ちながら低コストかつ適切な売買を行うことができるのです。
ロボアドバイザーの特徴
ロボアドバイザーの最大の特徴は、なんといっても簡単に投資の世界に入れるということです。
投資をするためには、金融や経済の知識が必要です。
また、投資運用アルゴリズムやプロファイリング、ポートフォリオといった言葉を見ると「なんだか手を出しにくいな…」と感じる方もいらっしゃると思います。
しかし、ロボアドバイザーは投資初心者の方でも、適切に分散投資を始めることができるようにサポートをしてくれるサービスです。
方法はとても簡単で、一見すると投資と関係ないような質問に答えるだけで、あなたにあった特別なポートフォリオ、資産の組み合わせを作成してくれます。
ロボアドバイザーの中で口座開設数No.1のウェルスナビの実際の質問を見てみましょう。
質問①「現在は、何歳ですか?」
質問②「年収はおおよそいくらですか?」
質問③「金融資産はおおよそいくらですか?」
質問④「毎月の積立額は?」
質問⑤「資産運用の目的は?」
質問⑥「株価が1カ月で20%下落したら?」
などの質問が行われます。
資産運用の知識がなくても、この内容であれば答えられますね。
質問に答えていくと、答えた内容からあなたの思考性をコンピューターが分析します。
膨大なデータに基づき算出されたプロファイリング情報より、あなたに最適なポートフォリオが作成されるのです。
診断は無料で行なえますので、資産運用を始めるかは気にせず、試してみてはいかがでしょう?
自分のプロファイリングを見てみるだけでも面白いですよ。
ウェルスナビでは以下のような診断結果を確認することができます。
ロボアドバイザーのしくみ
序文で、ロボアドバイザーには「投資一任型」と「助言型」があると紹介いたしました。
ここでは、投資一体型と助言型の違いとサービスの流れを説明します。
投資一体型のロボアドバイザー
投資一体型のロボアドバイザーは、主に金融ベンチャー企業によって提供されています。
金融ベンチャー企業は資産運用を続けてきた歴史・実績が少ないですが、その代わりに最新のIT技術に強みを持ちます。
そのIT技術を活用し、プロファイルの作成から資産運用までのサービスを一括して提供しているのが投資一体型のロボアドバイザーです。
お金を預けるだけで、資産配分から実際の運用までのすべてを任せられるので、自分の時間をあまり投資に使いたくないという方に向いています。
ロボアドバイザー | 運用手数料 | 運用商品 | 最低投資資金 | 自動積立 |
---|---|---|---|---|
1.0% | 海外ETF | 10万円 | 〇 | |
1.0%~0.65% | 海外ETF | 1万円 | 〇 | |
0.825% | 東証上場ETF | 1万円 | 〇 | |
0.702%未満 | 投資信託 | 10万円 | × | |
0.88% | 東証に上場している投資信託 | 1万円 | × | |
ダイワファンドラップ オンライン | 1.08% | インデックス型投資信託 | 50万円 | × |
助言型のロボアドバイザー
助言型のロボアドバイザーは、主に既存の大手金融企業が提供しています。
既存の大手金融企業はIT技術は金融ベンチャー企業に負けていますが、長年資産運用を続けてきた実績があります。
この経験と豊富な人材によって、質問の答えからあなたに適した金融商品をアドバイスしてくれます。
実際の運用はユーザーが行いますので、資産運用を本格的に始める予定だという方に向いています。
投資一体型と助言型の運用成績に優劣はありませんので、自分にあったロボアドバイザーを選択しましょう。
ロボアドバイザー | 証券会社 | 質問数 | 資産の組み合わせ | 対象投資信託 |
---|---|---|---|---|
fund eye | SMBC日興証券 | 8問 | 5通り | 5,000本 |
投信工房 | 松井証券 | 8問 | 11通り | 9本 |
マネックスアドバイザー | マネックス証券 | 5問 | 2,000通り以上 | 7本 |
SBI-ファンドロボ | SBI証券 | 8問 | 5種類 | 350本 |
FUND ME | カブドットコム証券 | 7問 | 4通り | 964本 |
VESTA | Good Moneyger | 15問 | 81通り | 約50本 |
資産の窓口 | 財産ネット | 6問 | 無数 | すべての投資信託 |
カライス | 東海東京証券 | 7問 | 5通り | 5本 |
Funds Robo | 野村アセットメント | 7問 | 約2万5千通り | 23本 |
野村のゴールベース | 野村證券 | 23問 | 5通り | 5本 |
投信ロボアドバイザーはてなくん | 北陸銀行 | 8問 | 7通り | 83本 |
SMBCロボアドバイザー | 三井住友銀行 | 13問 | 5通り | 5本 |
投資の入り口 | 三井住友信託銀行 | 6問 | 3通り | 9本 |
ポートスター | 三菱UFJ国際投信 | 5問 | 5通り | 5本 |
Probo | 三菱UFJモルガン・スタンレー銀行 | 24問 | 5通り | 24本 |
SMART FOLIO | みずほ銀行 | 6問 | 9通り | 約150本 |
ロボアドバイザーのメリット
ロボアドバイザーを利用するメリットは4つあります。
メリットは『金融の知識が不要なこと』、『均一なアドバイスを小口かつ低コストで提供してくれること』、『合理的な判断を行ってくれること』、『自動で分散、バランス調整を行ってくれること』です。
1.金融の専門的な知識が不要
ロボアドバイザーの最大のメリットは、金融の知識が少なくても始められることです。
ポートフォリオ作りのプロファイリングに必要な質問は、投資の経験がない方でも答えられるように作られています。
「資産運用の本って難しい横文字やアルファベットの略語がたくさん出てきて読めない。。」という普通のサラリーマンや主婦、学生の方でも適切な資産運用を簡単に始められるのが、ロボアドバイザーの1つ目のメリットです。
2.均一なアドバイスを小口かつ低コストで提供してくれること
ロボアドバイザーがこれまで大手の金融企業が提供していたサービスと異なる点は、私たち庶民向けのサービスだということです。
以前から「ラップ口座」といった似たような資産運用サービスはありましたが、一部の富裕層向けの高額なサービスでした。
『1.ロボアドバイザーとは?』で紹介したように、多くの金融プロフェッショナルが関わるサービスですので、大口の限られた方にしか提供できない高コストなサービスにならざるを得ないのです。
ロボアドバイザーでは、これまで人間が行なっていた仕事をコンピューターが代わりに行います。
プロファイリングやポートフォリオの作成や資産運用をコンピューターに任せることで、小口であっても多くの方に最高レベルのサービスを均一に提供できるようになりました。
多くの方に提供することで、一人当たりの料金もグッと抑えることができます。少ない額で始められ、富裕層と同じアドバイスを低コストで受けることができることが、ロボアドバイザーの2つ目のメリットです。
3.合理的な判断を行ってくれる
ロボアドバイザーはコンピューターがポートフォリオの作成、売買の判断を行うため、事前に決めたルールに基づいて合理的に判断できます。
これもロボアドバイザーのメリットでしょう。
人は環境や心理状況で不適切な判断をしてしまわないとは限りません。
ロボアドバイザーであれば、どんな時もルールに従って合理的な判断を行なってくれます。
4.自動で分散、バランス調整を行ってくれる
ロボアドバイザーを使った金融商品は、自動で分散・バランス投資を行います。
投資一体型ロボアドバイザーであれば、作成したポートフォリオに従い、コンピューターが適切な金融商品を自動でバランスよく分散投資してくれます。
助言型のロボアドバイザーはアドバイスに従って金融企業が提供するコースを選択すれば、あとは自動で分散、バランス調整を行なってくれます。
分散投資とバランス調整は資産運用をする上で重要なポイントですので、自動で確実におこなってくれるのは大きなメリットです。
ロボアドバイザーのデメリット
ロボアドバイザーのデメリットは、『AI技術が発展途上の技術であること』と『過去の事例が少ないこと』です。
ロボアドバイザーに代表されるフィンテックは、大手IT企業がこぞって研究している発展途上の技術です。
機械学習やディープ・ラーニングといったAI技術の研究が進むにつれて、より良いサービスが誕生する可能性があります。
フィンテック自体が新しい技術ですので、フィンテックを利用したロボアドバイザーも近年誕生したサービスです。
過去の事例が少なくて運用パフォーマンスが未定な、最新すぎるサービスとも言えるかもしれません。
また、投資する投資信託などの手数料が、自分でネット証券で購入するよりも高くつくので、コストの面をみるとデメリットとなっています。
ロボアドバイザーの手数料
ロボアドバイザーの手数料は、年率1%前後が多くなっています。
ロボアドバイザーと似たサービスのラップ口座は2〜3%ですので、AI技術を用いることで、ロボアドバイザーはラップ口座の半額以下の手数料となります。
ロボアドバイザーの税金
ロボアドバイザーでは『特定口座(源泉徴収あり)』を選ぶことができます。
しかし、余力を円で持つかドルで持つかによって確定申告の必要性が変わります。
余力を円建てしている商品は確定申告が不要ですが、ドル建てしている商品は確定申告が必要になります。どちらが自分に合っているか、検討する必要があるポイントです。
ロボアドバイザーのリスク
ロボアドバイザーのリスクとして、倒産とセキュリティが挙げられます。
特に金融ベンチャー企業は、大手金融企業よりも倒産するリスクが高いのが現状です。
インターネットを利用する資産運用ですので、IDやパスワードの管理といったセキュリティ対策は必須です。
アメリカでのサービスの拡がり
IT技術の本場といえばアメリカです。
そのアメリカで最も注目されているロボアドバイザーを提供している企業がWealthfrontとBettermentです。
2017年1月にNerdWalletが出した記事 (https://www.nerdwallet.com/blog/investing/best-robo-advisors/)では、ベストロボアドバイザーとして、WealthfrontとBettermentが選ばれています。
ロボアドバイザーのパイオニアである2社はユーザー数が多く、より低コストでサービスを提供しています。
その手数料は年率0.25%からという驚きの数値です。
日本のロボアドバイザーも2社の良いところを参考にサービスの向上を目指すはずですので、WealthfrontとBettermentの動向とアメリカでの広がりは注目する必要がありそうですね。
ロボアドバイザーまとめ
このページでは、近年アメリカや日本で注目を集めている、ロボアドバイザーについてまとめました。
ロボアドバイザーとはどのようなものなのか、どんな特徴があるのか、メリットやデメリットはあるのかという投資を始める前に確認したいポイントだけでなく、実際に運用を開始した後にも必要な税金についても記載しています。
フィンテックを利用したロボアドバイザーを使えば、最新の資産運用アルゴリズムを利用し、自動で簡単に、低コストで分散投資・バランス調整ができます。
ロボアドバイザーは少額で始められるので、これまで資産運用をしたことがない方にとって、投資の第一歩になる金融商品の一つです。
下記の記事で、ロボアドバイザーの選び方を紹介していますので、参考にされてください。
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